奈良交通、押熊線で大和西大寺駅から押熊まで狭隘路線をゆく

2022年9月6日

大型バスが対面通行不可能な狭い道を通る路線をバスファンは「狭隘路線」と呼んでいます。狭隘路線に特化したファンサイトも存在するほど人気が高いジャンルでもあります。

その一つでもある奈良交通の押熊線に乗車しました。

2012年10月乗車分です。

押熊線とは

奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅~押熊間を結ぶ路線です。

県道52号線の旧道を走行し、途中自動車の離合が困難な一車線の道を走行します。あまりの狭さのため、秋篠寺、平城中山、南押熊付近には地上誘導員が待機していてバスが接近した時には他の自動車や対向バスを適切な場所へ誘導します。

誘導員さんの動きだけみていてもお腹がいっぱいになりそうな路線です。

利用客が多く10~20分間隔で運転

ラッシュ時は概ね10分間隔。日中は20分間隔で運転しています。

また7時台に2本だけ平城中山始発の大和西大寺駅行が運行されます。

時刻表を見てもわかるように、平城中山始発のバスは押熊からきた便と1分しか間隔が開いていないのは、途中離合が難しいため、押熊からの便の続行便として扱われているためです。

所要時間と乗車方式

大和西大寺駅~押熊間の所要時間は約16分です。

押熊線の特徴として挙げるとすれば運賃の支払い方式が方向によって違う所でしょうか。大和西大寺から押熊方面は、降車時に支払う後払い方式。逆に押熊から大和西大寺駅方面は乗車時に降車停留所を申告し支払う先払い方式となっています。この申告先払い制は、馴れていない者にとっては若干難易度が上がります。押熊線に関してはほとんどが大和西大寺駅までの利用だと思うので問題なさそうです。

実際に乗車してみて

実際に大和西大寺駅から押熊までを乗車し、帰りは狭隘路線を堪能すべく徒歩で散策してみました。

日野PDG-KR234J2

乗車したのは2011年式のレインボーⅡでした。乗車時はまだ新車でした。この路線は乗車した2012年当時中型のキュービックがメインでしたが今はもういないでしょうか。狭隘区間を通るため、すべての車両が中型車で運行しています。

乗車したのは夕方の押熊行。買い物帰りの主婦、所用帰りのお年寄り、学校帰りの学生で車内は賑わいます。あと1時間遅くなれば会社帰りの人でいっぱいになることが想像できました。夜も遅くまで運行されていて最終バスは大和西大寺駅が23時47分発。完全な通勤通学路線です。

大和西大寺駅を発車すると既に道は狭く、自転車やバイクを交わしながらバスが進みます。秋篠寺付近で座っていた誘導員さんが立ち上がりバスの前を走って行き対向車を誘導します。

「いや~職人技」

各停留所で降車がありバスは新興住宅っぽい住宅街の中へ。住宅街を抜けると平城中山バス停。ここでも誘導員さんが配置されていました。

平城中山始発の大和西大寺行きが朝7時台に2本設定されていて、こちらの系統番号は74です。

「うまくいけば2台を正面から撮影できるのかな」

なんてことを考えているうちに南押熊バス停へ。ここも狭隘区間となっています。

そしてすぐに終点の押熊バス停に到着。

小さな転回場に頭から入り、一回切り返してからバス停に到着します。

最初から最後までなにからなにまで狭い路線でした~

沿線を歩いて大和西大寺駅へ

約16分のバス旅でこのまま折り返してもよかったのですが、時間があったので歩いてみることに。

南押熊

南押熊バス停付近も狭隘区間。誘導員さんがいます。

平城中山

少し開けている平城中山バス停。

狭隘区間を行く押熊線

ご覧のようにバスが1台通ると対向不可です。

住宅街の中を路線バスが高頻度で走行。家の前で子どもを遊ばせることは無謀です。

北秋篠

北秋篠バス停。道路の柵の外側にバス停ポールが設置されています。

秋篠寺

良い雰囲気の秋篠寺です。

奈良時代末期780年頃、光仁天皇の勅願によって建立され、開山は善珠僧正と伝えられています。平城京西北の外れ「秋篠」の地に建てられたためこう呼ばれています。平安時代末期に戦火のため伽藍の大部分を焼失し、鎌倉時代には今の本堂がもとの講堂の跡に再興されましたが、金堂や東西両塔の跡は雑木林になってしまっています。本堂に25体安置されている仏像の中でも特に著名なのが伎芸天(重文)で、諸技諸芸の守護神として多くの芸術家や芸能人らに慕われ、またその造形の優美な写実性は古美術愛好家の間でも広く親しまれています。

奈良市観光協会サイトより引用

皇室の秋篠宮さまの名前の由来にもなっているのだとか。夕方だったので参拝は出来ませんでしたが、押熊線に乗車した際に寄ってみてはいかがでしょう。

秋篠寺前の狭隘区間を走行する押熊行。道路幅がバスの幅とほぼ同じです。

秋篠寺

狭隘区間の手前に秋篠寺バス停が設置されています。全体的に短い路線ですが、狭隘区間が点在していて乗車して非常に面白い路線です。本数も多く、乗車時間も短いので手軽に狭隘区間を楽しむことができるので、是非乗ってみてください。

「また乗りたくなってきた!」

乗車データ

路線名押熊線
運行会社奈良交通
乗車区間大和西大寺駅→押熊
乗車車両奈良200か708 平城営業所