【銘柄分析】日本航空・ANAホールディングス 国内大手航空会社の業績と今後の見通し(2020年3月期期末決算)

2020年8月23日

4月末から5月にかけて決算発表が最も多い時期です。

今回の決算発表は新型コロナウイルスの影響がどの程度あったのかしっかり確認しなければなりません。

国内大手航空会社である、日本航空とANAホールディングスの期末決算が発表されたので紹介しますね。

日本航空(JAL)の期末決算

2020年1月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響で減便、運休、航空機の小型化で供給量とコストの削減に取り組んでいました。

国際線、国内線共に多数の欠航で売り上げはかなり厳しいのは覚悟していましたがいかに。

売上高の推移

まずは売上高の推移を見てみましょう。

年度別にグラフにしています。

2019年度が先日発表された数値です。昨年度より減少しているのがわかります。

  • 2016年度:1兆2889億円
  • 2017年度:1兆3832億円
  • 2018年度:1兆4872億円
  • 2019年度:1兆4112億円

1年前と比較して720億円の減少です。

純利益の推移

  • 2016年度:1641億円
  • 2017年度:1354億円
  • 2018年度:1508億円
  • 2019年度:534億円

1年前と比較すると974億円も下がっています・・・

売上高だけを見ると1~3四半期の分があるのでそこまでダメージが内容に見えましたが、費用等を差し引くと厳しさがわかります。

2018年度期末決算との比較

もう少し詳しく見てみましょう。

(単位:百万円)2018年度期末2019年度増減比
売上高1,487,2611,411,230-5.1%
営業利益176,160100,632-42.9%
経常利益165,360102,571-38.0%
純利益150,80753,407-64.6%

こうやって見ると減少具合が大きいのがわかります。

3か月飛行機が飛ばないだけで利益は3分の1近くまで落ち込んでしまうのですね。

配当金はどうなる

残念ながら2019年度の期末配当は0円と発表されました。

これだけ航空需要が低下し、大幅な業績悪化となっている状態では無理もありません。

とにかく新型コロナウイルスが収束するまで、持ちこたえて欲しいところです。

中間配当があったので、実質半減となります。こういった時に年2回配当は投資家にとってもありがたい部分です。

2020年度の配当は見通しがわからないので、未定とアナウンスされています。

その他のデータ

日本航空を利用した旅客の人数です。

2018年度は4318万人だったのが2019年度は4206万人でした。

対前年で95.6%です。

旅行事業のJALパックの収益も対前年93.1%となりました。

航空機を利用する人が少なくなれば、お土産などの小売りの関連事業や宿泊業も売り上げがなくなり、グループ全体でダメージを受けてしまいます。

2020年5月3日現在、国際線は95%、国内線は70%減便している状況です。

そのため2020年度の業績予想は開示されませんでした。

ただ、新型コロナウイルスが収束すればテレワークやオンライン化など、社会全体の在り方が変わるとも言われています。それでもグローバルな人と人との交流、物流ネットワークの需要は低下することはおそらくないとの見通しで、再飛躍に向けて今は耐えて欲しいと思います。

もし来年東京オリンピックが開催されるなら、一気に業績も回復すると信じています。

あと、JAL初めてのLCCで就航予定だった「ZIPAIR」はどうなってしまうのでしょうか。

ANAホールディングスの期末決算

続いてもう一つの大手航空会社であるANAについて見ていきましょう。

売上高の推移

  • 2016年度:1兆7652億円
  • 2017年度:1兆9717億円
  • 2018年度:2兆583億円
  • 2019年度:1兆9742億円

1年前と比較して841億円の減少です。

純利益の推移

  • 2016年度:988億円
  • 2017年度:1438億円
  • 2018年度:1107億円
  • 2019年度:276億円

1年前と比較して831億円の減少です。

JALに比べて減少幅が大きいですね。

ANAは東京オリンピック前に多くの国際線を新規就航する予定でした。

機材の大型化、ネットワークの拡大と責めの姿勢を見せていた矢先の新型コロナウイルス感染拡大。

費用もかかっていただけに、運休は大打撃です。

2018年度期末決算との比較

(単位:百万円)2018年度期末2019年度増減比
売上高2,058,3821,974,216-4.1%
営業利益165,01960,806-63.2%
経常利益156,68159,358-62.1%
純利益110,77727,655-75.0%

売上高は前年より4.1%だけの減少でした。

しかし費用等を差し引いた営業利益以下の減少幅が大きいですね。

JAL同様、新型コロナウイルス感染拡大による一過性の需要減なので一刻も早く収束してほしいですよね。

配当金はどうなる

こちらも残念ながら配当はありません。

ANAは年1回配当なので、年間を通して無配となりました。

またJAL同様2020年度の配当も未定です。

その他データ

その他のデータを見てみましょう

国際線:941万人 -6.7%

国内線:4291万人 -3.2%

LCC:728万人 -10.6%

旅行事業:1439億円 -4.5%

特にLCCの減少幅が大きいですねー。LCCはビジネス需要よりも観光需要がメインですからね。

不要不急の外出自粛の影響をモロに受けます。

僕も「セールでチケットが安いからLCCで出かけよう」となるタイプなので今はとても利用出来る状況にありません。

懸案事項

決算短信に今後のリスクについて述べられていました。きちんとリスクを開示してくれている点はありがたいですね。

その中でもフリートに関するリスクについて少しだけ話したいと思います。

  • ボーイングリスク
  • 三菱航空機のリスク
  • LCCのリスク

まずはボーイングについてですが、ANAグループが運行している機材は小型機から大型機まで、多くがボーイング社製の機材を使用しています。そのボーイングが現在危機的な状態に陥っています。

新型のボーイング737MAXの連続墜落事故の後、システムの改修に難航していて生産が止まっていました。

ボーイング737MAXは現在世界中でベストセラー機となっている737シリーズの最新機。

機材更新需要を見込んでいましたが、生産停止、航空会社からのキャンセルや違約金で財政がそもそも悪化していました。

そこへ新型コロナウイルス感染拡大による航空需要の激減で大打撃を受けています。

ボーイングの財政悪化とその他の理由でANAとの保守管理契約が履行できなかったり、機材の調達ができない場合事業にも影響が出てしまいます。

2つ目の三菱航空機のリスクは、ANAが導入を予定している「三菱スペースジェット」の開発についてです。

度重なる導入延期で現在2021年の引き渡しを予定されています。ただこれもどうなるかわかりません。

さらに延期となると機材繰りに影響がでるかもしれません。

最後はLCCのリスクです。新たな新規需要の開拓に至っていないこと、他LCCとの競争激化、海外LCCのトラブル、事故によるイメージダウンで顧客離れが起こる可能性について言及されています。

新型コロナウイルス終息後、LCC路線もどこまで戻るか気になるところです。

長くなりましたが今回はここまで。

以上日本航空とANAホールディングスの2019年の期末決算でした。

追記

投資の神様と言われているウォーレン・バフェット氏が保有するアメリカの航空株(デルタ、アメリカン、ユナイテッド、サウスウエスト)を全て売却したというニュースがありました。

航空業界は元どおりにならないと判断されたのでしょうか。

航空業界はどうなっていくのか、気がかりです。